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「デートだ!」@

 

                                                      

「ちょっと。幸人さん。何処に行くんですか?」

 

朝早くに起こされたかと思えば、強引に車に乗せられて軽く拉致られたアスカは、加速する車から覗く景色に不安の表情を浮かべながら尋ねた。

自動車などアスカの世界には存在しない。だからこそ初めてのドライブに興味はあるものの、行き先がわからなければ不安になるのは当り前で…、しかも相手はあの幸人だ。尚更アスカは助手席で縮こまる。四億円という弱みがある事から、アスカは三人の中で幸人がどうも苦手だった。

そんなアスカに幸人は含みのある笑みを浮かべながら、

「遊園地だ。デートの定番だからな。」

そう言いながら、嬉しそうにハンドルを切る。

「『でぇと』?『でぇと』って何ですか?」

初めて耳にする単語にアスカは案の定、興味を示した。これも幸人の策の内だ。

「デートだ。デートって言うのは、二人っきりで一緒に過ごして団結力を高めるものだ。」

幸人の説明に、アスカは一点の疑いも持たずに、無垢な眼差しで幸人を見つめる。

「…幸人さん。やる気の無い素振りを見せながら、私達のチームワークの事を真剣に考えてくれてたんですね。感動しました。私、幸人さんの言う通りにしますから、二人でこのデートを成功させましょう!」

すっかり騙されたアスカに、怪しげな笑みを浮かべる幸人を乗せた車は高速に乗り、目的地の遊園地まで一直線に走っていった。果たして目的地はhell or        heaven?

 

 

「うわー。幸人さん。楽しそうな所ですね。あ、あれは何ですか?うわ、陸地なのに船が揺れてますよ!!」

アトラクションの一つ一つに驚いて見せるアスカに、周りの客が好奇の目でアスカを眺めていく。アスカはそんな事お構い無しで騒ぎ続けているが、隣にいる幸人は堪ったもんじゃない。騒がしいアスカの腕を引っ張って急いでその場から離れる。

アスカは、呑気に『どうしたんですか』と言いながら、幸人に引きづられていった。

 

 

ここまで来ればと思い、幸人はアスカを掴んでいた腕を放すと、それは一つのアトラクションの場所だった。

(確かここは…。)

そう思い、幸人は怪しい笑みを浮かべる。

「まずはここに入るぞ。」

そう言って、放したアスカの腕を再び掴み、中に入ろうとする。しかしアスカは掲げてある看板を見て、足を必死で突っ撥ねた。看板に書かれた文字とは、

 

『お化け屋敷』

 

アスカは以前にここで怖い思いをしているので、抵抗がある。

「ゆ、幸人さん。私は、外で待ってますから…。」

まるで、歯医者を嫌がる子供の様に幸人から逃げ様としているアスカに、幸人は本日の切札をちらつかせる。

「デートを成功させるんじゃなかったのか。」

その言葉にアスカはピクリと反応する。こんな素直な反応が、幸人には可愛くて仕方が無い。

「お前の苦手なものを克服する為だ。怖かったら、俺にしがみ付いてろ。行くぞ。」

さらりと男前な台詞で丸め込み、幸人はまんまとアスカをお化け屋敷に放り込んだ。

 

 

「ゆ、ゆゅ…幸人さん、絶対に手を放さないで下さいよぉ。」

アスカは声を振るわせながら、幸人の手をしっかりと握り締めて、ピッタリと身体を密着させてくる。それでいて、所々で出てくる子供騙しな仕掛けに、逐一驚いては、幸人にしがみつく。

今時、女・子供でもこんなに驚きはしないだろう。普段エボリアンと戦っている姿からは、正直想像し難い。そんなアスカの単純さに、幸人はある種、新鮮味を感じる。

幸人の周りに群がる馬鹿な女達なら、業とらしく驚いて見せるだろうが、下手な芝居に幸人は虫唾が走る思いを幾度か経験している。しかし、アスカに無防備に抱き付いて来られると、虫唾が走るでは無く、胸の鼓動が早くなり、身体が熱くなる。

しかもここは暗闇と、シチュエーションとしてもばっちりだ。

(俺の理性が何処まで持つか…)

アスカが必死で恐怖と戦っている中、幸人もまた、己の自我と戦っていた。

まだアトラクションは一つ目だ。

 

「幸人さんのおかげで、俺、強くなれた気がします。」

お化け屋敷を出た早々、そう言って深々と頭を下げられると、多少なりとも罪悪感が沸くものだが、幸人にそんな心があるのなら、始めからアスカを騙してこんな所に連れて来たりはしなかっただろう。

しかし、その後はしゃぎながら、次々とアトラクションに引っ張っていくアスカに、渋い顔をしながらも付き合った幸人の姿は、今まで誰にも見せた事の無い優しさだったのかもしれない。

 

 

「あっれ〜?アスカさんも幸人さんも、どっこ行っちゃたのかな?」

一方こちら恐竜屋では、朝は比較的早起の凌駕 が起きた時から既に二人が見当たらない事に疑問を抱き始めていた。

お世辞でも恐竜屋は広いとは言えないので、探す場所も限られてくる。一通り探した後、凌駕はそう言いながら首を捻る。仕方が無いので、何か知っているかもと思い、らんるを起こしに行った。

「幸人さんとアスカさん。もし二人で出かけたとなると、アスカさんの身が危険だわ。探しに行きましょう!」

「え、どういう事ですか?」

らんるの言葉に納得できないまま、二人は外に飛び出した。

 

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中途半端に続くプラ。作者的には続きを急ぐと言ってるプラが、

余り当てにしないほうが良いプラ。

果たして、アスカさんは幸人さんに頂かれちゃうのかプラ?

凌駕さんとらんるさんは間に合うのでしょうか?

続きはエンディングの後プラ。(BYアバレのおまけ風)

*エンディングなど有りません。各自で歌って頂ければ…。

 


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